2006年02月16日
 

ある終わりの瞬間(とき)

鬼喜王子です。

近年、キレる若者の暴力や犯罪が問題となっているが、僕・鬼喜王子は、13歳から21歳の春まで約8年間、人前で逆上したことがまったくない。
別に人格者だったわけではない。その当時の僕はとにかく「人にナメられないようにしよう」として、怖いと思われる人間になろうと必死だった。何かの本で読んだのだと思うのだが、「滅多に怒らない人が怒った時が一番怖い」というのを信じて、いざというときのため絶対に怒らないようにしていた。今思うと、自分が見てもかわいいことをしていたものだと思う。

この「修行」、思わぬ面で僕の思春期の人格形成に役立っていたと思うのだが、終わりは実にあっけなくやって来た。いざということきは、まったく「いざ」ではなかったし、僕の怒りを受けた当人もまったく怖がってなかったと思う。

大学時代、何かの打ち上げだったとおもうが、僕は友人10数人と飲んでいた。場所は今は無き、渋谷「酔い処(よいしょ)」。ジャンボおにぎりやジャンボコロッケ(両方とも20センチくらいある)が名物の店で、注文すると白木屋の「よろこんで!」よろしく「ヨイショ!」といって元気よく対応してくれる。店員さんの対応も親切、値段もお手頃とあって、僕らの根城のひとつだった。
Oという男がいる。こいつは男気あふれる僕の友達の中でも抜きん出て男気があり情に厚いとてもいいやつなのだが、酒を飲むとものすごくだらしなくなる。
このOがこの夜もだいぶ酒を過ごして、酒器をひっくりかえしたり、何度もトイレに行って戻して来たり、だいぶ様子が怪しくなって来た。何かあるたびに忙しい中、甲斐甲斐しく世話してくれる店員。
「O、もう止めた方がいいなじゃねえのか?」
「いや、まだまだ大丈夫だよ」

そして事件は起こった。Oの口からほとばしる熱いもの。ベトナム戦争のナパーム弾投下を連想させる××の絨毯爆撃。
すぐに店員さんが飛んで来て、笑顔で対応してくれる「大丈夫ですか?」。
ヘラヘラ笑っているO。そのとき僕は自分のなかで何かが切れる音を聞いた。

「O、おんどりゃ、いい加減にせいよ!」

普段温厚な僕が怒った! 周りの空気が凍り付いた。と思ったのはまったくの勘違いで、場の空気、まったく変わらす。
僕の8年間の我慢はなんだったのだろう? 僕は黙々と後始末をした。終わりの瞬間はあっけなく訪れる。

その後10年以上、僕とOはお互いに迷惑をかけたりかけれたりして、人と付き合うということはどういうことかを知っていくことになる。

このOもこのときに同席していた女性と結婚して、この3月にはパパになる予定である。
おめでとうO。君の子供が、酒癖だけは君に似ていないことを祈る。

Posted by kiki at 16:19 |

コメント

 

現オフィスでは「族出身」「堅気じゃない」などと一部メンバーが噂します。
昔は、王子さんと違って感じた事はいつも全開で出していましたので、どうやら怒った時の眼つきが一般人?と違うらしいです。
確かに部分的に弁解ができないので黙って誤魔化し、へらへら笑ってますが、それがまた逆効果で恐怖を生み出しているようです。あはは。

どこかの社長のように椅子を蹴り飛ばして破壊をしたりしませんが、デスクを倒して本体と床を壊した事があるぐらいです。

Posted by Piyo : 2006年02月16日 19:05
 

昨日は大変ご迷惑をお掛けしました・・・。        
とても楽しい時間を過ごさせていただきました。
キレル・・・最近は全然ないですね・・・・。
昔は別人の様に周りからは怖がれる存在だった様です。
今は滅多に怒ることもなく残酷なほどにやさしいらしいです。
変わらないこと・・・17歳から中身が変わってないそうです・・・いいのか・・・悪いのか・・・自分の中では複雑かもしれません。昔のお客様に久々に逢うと「変わらないね、安心したよ。」と言われ嬉しくもなりますが。昔から老けた考え方をしていたせいもあるのかもしれませんが・・・。見た目・・外見は昔より若くなったそうです、それはうれしいかも。
王子さんも変わらないでね♪

Posted by chika : 2006年02月17日 01:38
 

>PIYOさん
Piyoさんこそ「普段はやさしいけど、いざ怒ったら怖い人」の典型だと思うのですが。フフフ…。
ちなみに僕は怒りにまかせて壁を殴ったとき、手首を捻挫しました。壁は無傷。なんだかなぁ。
その社長も、普段は優しいからいざ怒ったときは怖いんですけどねぇ。

>chikaさん
ご迷惑どころか、いつでも大歓迎ですよ!
連日の書き込みもありがとうございます。
「変わらないで」と言って頂ける気持ちはとても嬉しいのですが、僕はまだまだ未完成なので、どんどん変わっていきたいという気持ちが強いですね。
変わらない大事なもの。変わりゆくから素晴らしいもの。言葉で説明しようとするとなかなかむずかしいんですが、永ちゃん(矢沢永吉)はご存知ですか。
永ちゃんは昔から変わらない部分を持ちつつ、年を重ねるごとにいい感じに変わっていって、僕はその生き方、とても好きです。
いつもニコニコしているchikaさんが怖いところも見てみたい気はするなぁ。

Posted by KIKI : 2006年02月17日 02:51
 

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