2006年11月05日
 

サムライの美学

週に1本DVDを見るノルマを課したら、3本位見てしまった鬼喜王子です。

で、見たのが「ロール・バウンス」というローラースケート版8マイル(身も蓋もない)。
ファシスト国家となった英国に立ち向かう謎の主人公を描いた「Vフォー・ヴェンデッタ」。
この2本を見て、もう亡くなって大分たつ隆慶一郎氏や三島由紀夫氏のエッセイを思い出した。

自由というのは楽しげでそして素晴らしい。反面無秩序であり、ときに愚かである。
統制・支配というのは、されるほうはたまったものではないが、その秩序は美しいことこの上ない。
民主主義というのはたくさんの人間の知恵を集められる点ですぐれているが、衆愚政治に陥りやすいし、独裁は頂点に天才が立てば最も理想的な政治形態であるが、愚者が頂点に立つとき(あるいは凡人ですら)、目も当てられない。

統制の美対自由の楽しさの戦い。信長対本願寺門徒衆。銀河帝国対共和国軍。James Brown対Sly & The Family Stone。

僕らは民主主義のなかで育ったから、自由は素晴らしいと教え込まれている。それは確かに真実なんだけど、善悪を考えないとき、ナチスというのは人類が生み出した中で3本の指に入るくらい美しい集団だし、僕は北朝鮮なんて国家はさっさと滅びた方がいいと思っているけれども、かの国の軍事パレードは整然としていて素晴らしい威容を誇っている。
信長はそんな美しさを愛して、そして無秩序で醜く愚かな門徒宗を嫌ったから伊勢長島や比叡山でジェノサイドを行ったといわれているし、そんな美しさを追求した結果、三島は今は無き自衛隊市谷駐屯地で割腹をした。

いいか悪いかと聞かれれば、絶対に悪。でも美しいかそうでないかと言われれば、これも絶対に美しい。
隆慶一郎(そしてその先輩の小林秀雄)の師・辰野隆は「恋愛というのは美男美女だけに許された特権である」という暴言を吐いたらしいが、この言葉のなんと真実でうつくしいことか!

スターウォーズでも帝国軍のほうがかっこいいし、「Vフォー・ヴェンデッタ」のファシストのマークもイカしている。ナチの軍服はいちばんかっこいい軍服だし、糊がきいた裃は三島が大絶賛している。前出の「ロール・バウンス」でも、ライバルのチームの統制されたパフォーマンスのほうが数段クールなのである(主人公チームは楽しげで素晴らしいのですが)。

自由と美しさ。こいつは両立できないのかもしれない。
何かを手に入れるためには、何かを犠牲にしなければならない。

ちなみにあと一本は「ALWAYS 三丁目の夕日」。これも超よかった。

Posted by kiki at 04:40 |

コメント

 

この連休に緒方拳が三島由紀夫を演じる映画を観ました。日本では未公開の米国の作品でした。市ヶ谷駐屯地でのラストシーンは美しいというかかなりの衝撃でした。緒方拳の演技がとても良かったです。

Posted by リアンナ : 2006年11月06日 05:47
 

この連休に緒方拳が三島由紀夫を演じる映画を観ました。日本では未公開の米国の作品でした。市ヶ谷駐屯地でのラストシーンは美しいというかかなりの衝撃でした。緒方拳の演技がとても良かったです。

Posted by リアンナ : 2006年11月06日 05:47
 

自由と美しさ、どちらも笑顔の伴うほうがイイですね。

11/4に十二時に愛媛より参りました。2度目になります。
彼女の誕生日(11/7)のお祝い、ありがとうございました。
彼女が大変感激してました。またお伺いしますね。

Posted by 373 : 2006年11月06日 16:23
 

>リアンナさん

ううむ、見たい!
そういえば、あの時代をリアルタイムに生きた人は、三島の首が落ちるのをテレビ中継で見たらしいですよ。もちろん今ビデオでは流れませんが。

イッセー尾形が演じた昭和天皇の映画も見てみたいです。こちらも日本未公開。


>373さん

先日はご来店ありがとうございました。
愛媛生まれの自分としては、一度ルーツ探しの旅に伺いたいのですが、時間が取れません…。
『坂の上の雲』も好きなので、それ関係の観光もしてみたいですね。

Posted by KIKI : 2006年11月07日 03:05
 

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